ホームひとりごとタイム中学を卒業したばかりの15歳の春-いつか希望の鼻を(Aさん15歳 学生)

 前日に中学の卒業式を終えたばかりの女の子が、鼻の相談でお母さんと一緒に来院された。もう高校も決まっているようで、女の子もお母さんも、開放感に満ち溢れたとても良い顔をされていた。

Aさんの母「先生、娘ですが、小学生の頃から自分の鼻がイヤでイヤで・・・。前から整形したいって言ってたんですけど、とりあえず中学卒業まで待ちました。全体的に小さくすっとした鼻にしたいんですけど。」

 彼女は大人しそうな女の子だった。僕は彼女の鼻をいろんな角度から診察した。
 彼女の鼻は、確かにすっとした鼻ではなかった。目と目の間は低くて少しのぺっとした感じ、鼻先はやや大きめで丸く、小鼻も少し広がっていた。お母さんの言うような鼻に近づけるには、少なくとも4つの手術(プロテーゼによる隆鼻術、耳介軟骨移植、鼻尖縮小、小鼻縮小)が必要で、それを不自然にならないようにまとめあげるのは実は中々大変な事だった。特に彼女の鼻は難しいタイプであった。お母さんは費用がかかってもぜひやってほしいと言われるのだが、僕はあまり気がすすまなかった。なぜなら僕は普段中学生や高校生の子を診療する時、彼女たちの学校での生活を一番に考えているからだ。
 僕が美容外科医になって3年目くらいの時、高校3年の女の子の目頭切開の手術を行ったことがあった。その女の子は前年に埋没法の手術をしていたが、どうしても平行型の二重にしたくて自ら目頭切開の手術をを希望した。僕は十分カウンセリングを行い手術も問題がなかったのだが、夏休みが終わって学校に行ったら友達になんか違うと指摘され、学校で噂になってしまったようだ。結局彼女は学校に行きづらくなり、高校生活最後の半年がつらいものになってしまった。

 その経験が常に頭にあるため、よい鼻になっても手術と勘付かれてしまい、彼女がつらい思いをしないか、いじめられたりしないか、学校に行けなくなってしまわないかが心配になってしまうのだ。人に手術の事を指摘されても、それをはねかえすだけの性格(手術したよ、それがどうかした?なんか悪い?といえるぐらいの性格)を持ち合わせていればいいかもしれないが、僕の目の前にいる彼女はとてもそういう感じではなさそうであった。

岩本「小さく細くしようと思うといっぱい手術をしないといけないかなぁ。プロテーゼの手術だけにしとくっていう手もあるけど、希望の感じまでは難しいかもしれないかなぁ。それに高校生でプロテーゼの手術までする子はあまりいないかな。」

 僕は過去の経験なども含めて手術後におこり得る環境の変化など全てを説明した。女の子もお母さんも少しがっかりした様子だったが、僕の言う事を理解し納得してくれた。
Aさんの母「Aちゃん、先生の言う通り高校卒業してからにしよか。また連れて来てあげるから。」
Aさん 「・・・うん」彼女は小さくうなずいていた。

岩本「ねぇAさん。Aさんの目と目の間のこの部分、少しのべっとしてるから、ヒアルロン酸の注入でここの部分だけ鼻すじをつくってみようか。鼻先や小鼻は何も変わらないから最初の希望とまではいかないけど、そこの部分だけが少し高くなるだけでも感じ変わるよ。 ヒアルロン酸自体は永久的なものではないけど、何より誰にもばれないし…。」
Aさん「やってみたいです!」彼女はニッコリと笑って言った。

 施術は数分で終了した。
岩本「もう終わったよ。ちょっと見てみようか。」僕は彼女に鏡を手渡した。
 すると自分の顔を見ながら少し照れくさそうに、そして恥ずかしそうにしている彼女の姿がとてもかわいかった。僕は彼女の高校生活が素晴らしいものになるといいなと思った。そして3年後には、今度こそ彼女の夢を叶えてあげたいと思った。
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